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学びリンク(株)主催通信制高校合同相談会「親の会」ブースにて

 711日(日)、通信制高校合同相談会に「親の会」ブース担当させていただきました咲くふぁ福岡。11:00-15:306組8名の方々とお話しすることができました。


 「親の会」ブース担当3回目の今回は、会場となっている博多駅前のファションビルエントランス右手奥の別室が相談ルームとして用意されていました。これまでは7F会場の奥にコーナーが作られていたのですが、今年の相談会参加者は500人超、通信制高校のブースも昨年より格段に増えている印象で、密回避の現況下では別室相談は極めて賢明なご判断だと思いました。


 ここに用意されたブースは三つ。


無料メンタルカウンセリングコーナーには、須川新太郎さん。(内閣府認定北九州ユースアドバイザー、日本プロカウンセリング協会心理カウンセラー)


親の会に、咲くふぁ福岡


教育相談コーナーには、木村素也先生。(ぼちぼちの会会長、元福岡市立能古中学校長)今回はリモートで相談に応じていらしゃいました。


 学びリンクのスタッフの方の誘導で、7F会場から移動していらしゃるみなさま。緊張した面持ちです。私たちのブースでは特に時間の制限をせず、ご自身で納得いただけるまでお話しいただきました。だいたい4050分というところでしょうか。


 詳細は当然お話しできません。ただ、私たちがこの場で何をしたのか、ということについては少しだけお話ししてもいいかなと思うのです。


 多分、この相談室にいらっしゃるまでに、みなさん色々お考えになったことと思います。「経験者のお話が聞けるということでしたので」ブースを訪れてくださった方、みなさんそうおっしゃいました。逆に言うと、「これまで不登校当事者の話を聞いたことがない」ということです。情報がないからこの先どうしたらいいのかわからない、不安でたまらない、そんなお気持ちを抱えていらっしゃることがよくわかりました。


 そうですよね。先例のないことをするのはすごい勇気が必要です。不安になって当たり前。私たちは、まず、その不安の正体は何なのかを相談者とともに考えます。学校に行っていないお子さんのこと、ご自身のこと、ご家族のこと、学校のこと、何でもかまいません、話したいことをどんどんお話しいただいて、その中で私たちが確認したいと思ったことだけ、質問してみます。すると、一瞬、はっとした表情をされ、不思議とそこから新しい気づきが生まれていくように感じました。


 イメージにすると、「(相談者)さんのお庭の隅に咲いている、あのお花とても綺麗ですね。」って言う感じ。私たち外部の人間からするととても美しくて気になる存在が、いつも一緒にいるからこそ気づかないままになってしまっている、そんなことがありますね。不登校問題もそんな一面があります。


 トラ子が不登校渦中にあった時、私にとってのトラ子は「学校に行けていない子」でした。それは、学校というみんなが行って当たり前の場所に適応できなかった子。社会的敗者、というイメージでした。でも色々な場所で学びを深めるにつれて、そのイメージは大きく変わったのです。


 現在の学校が所与性ガチガチの二百年前の教育システムから何ら変化していない、というお話は当ブログでも何度も書きました。現実社会と大きく乖離した学校という空間にどうしても合わない子どもはいます。いるどころか、その数は増加の一途を辿っています。(この日の参加者数を見ていただければそれが事実だとご理解いただけるでしょう)


 不登校という選択をした子どもはこの矛盾に気づいた子たち。それをうまく言語化できるかどうかはそれぞれですが、なぜ学校に行かないのかという質問に対して「なんとなく」という返答があったとすれば、もうそれで十分です。言葉にできない違和感に対して、身体で反応する子どもたち。怠けている、とかサボっているとみなされがちな不定愁訴は、実は子どもたちからの切実なSOSであり、不登校はそんな子どもたちが自分を守るために築いた最後の砦なのだと思うのです。


 子どもが不登校になった時、私たちはその先のことを考えて心配でたまらなくなります。学校に行かなかったらどうなるんだろう、この子の人生詰んでしまう。でも、未来は現在の積み重ね。今が辛くてたまらないのに未来のことなんて考えることはできません。今の辛さを乗り越えたらこの先、きっといいことが、そんな風に言われ続けて頑張り続けた子どもたち。でも、その困難の向こうにあるのはまた新たな困難であることをもう体感的に知っているんですよね。


 困難の向こうに幸せはない。「根性・努力・忍耐」が大好きな日本人の感受性はマゾヒスティックなまでに困難を探して乗り越えようとします。それがあたかも美しいことであるかのように。


 もうそういうのはやめませんか。学校が楽しい空間であれば、子どもは頼まれなくても登校します。もし、どうしても学校と折り合いがつかないというのであれば、登校することに執着する必要もないと思います。学校に行かないというのもまた学びの形の一つ。何より、命を守る選択かもしれません。


 考える力が育っているからこそ立ち止まってしまう子がいます。それを不登校と言ってしまえばそれまでですが、私たちはその選択をできたことを本当に素晴らしいことだと思っています。思索と決断、その両面において優れた才能を示すお子さんだと思っているのです。


「今までそんなこと、誰にも言われたことがありませんでした。」


 ブースにいらしていただいたみなさん、こんな風におっしゃっていました。そうかもしれません。不登校の子が増えているとはいえ、まだまだその立場はマイノリティ。でもこうしてお会いできた方には、こんな風な考え方もありますよってお伝えできる。私たち咲くふぁ福岡がこういう機会を大事にしているのはそのためなのです。


 今回もブース担当のお声をかけてくださった学びリンク株式会社山口教雄社長、スタッフの三浦哉子さん、小林健太さん、良い機会をありがとうございました。7F会場でいただいたという通信制高校の資料を手に、笑顔で帰宅されるみなさまのご様子を嬉しく拝見いたしました。自分に合った学びを選択できる社会、この実現のためにこれからもご尽力くださいませ。



さなトラ  藤野早苗


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*なんかですね、陣中見舞いをいただきまして。


 立花高校斎藤校長ちゃんがいきなり、差し入れの美味しいパンを携えてご登場。もう会場騒然。たまたまいらしていた相談者さんも校長ちゃんのご講演を聴いたことがあります〜と大興奮。「結局教育って人なんですよね。」って秒で真理に辿りついていらっしゃいました。笑笑。校長ちゃん、ありがとうございました。


 午後からは、明蓬館高等学校博多SNECの岡本美香さんがいらしてくださいました。私が一番好きなお茶「伊右衛門」。ありがとうございました。先日の学校訪問の興奮、未だ醒めやらず。通信制高校の可能性を身近に感じさせていただいた学校でした。


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 「あいむ」代表、藤野荘子さんもいらしてくださったみたいなんだけど、お会いできず。残念。荘子さん、またねー。




by sacfa2018 | 2021-07-12 10:48 | 不登校支援 | Comments(0)

不登校当事者に伴走するボランティア「咲くふぁ福岡」です。当事者の話す会「アガパンサスカフェ」もやってます。


by sacfa2018
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