フリースクール訪問記①の2 箱崎自由学舎ESPERANZA(えすぺらんさ)
2021年 04月 28日
今日もフリースクール「箱崎自由学舎えすぺらんさ」レポをお届けします。
「えすぺらんさ」の組織概要と魅力は昨日のしょこトラレポで十分お伝えできていると思います。情報として付加することはあまりない(申し訳ない)のですが、「場」に足を運んだ者にしかわからないその雰囲気を少しでもお伝えしたいと思います。
さて、こちらが私たちにお話しくださった上村一隆さん。
「えすぺらんさ」に関わって16年。組織運営をすると同時に、社会科の先生でもいらっしゃいます。実は、こちらの上村さんと「咲くふぁ福岡」両トラ、けっこう長いお付き合い。「咲くふぁ」以前の私たちは、とある不登校支援団体で3年間事務局員として活動していました。そこに上村さんも在籍していらした一時期があり、それ以来のご縁です。そして現在、不登校問題、ひきこもり問題はもちろん、もっと広く教育、福祉に関わるイベントに参加すると、必ずそこにいらっしゃるのが上村さん。Man in blackの「あにき」です。笑笑。初見、少々(いや、かなり?)強面な上村さん(失礼!)ですが、実際はとても温かなお人柄で、子どもたちのためには労力を惜しまず動いていらっしゃることがお話の端々からうかがえました。
そんな「あにき」は常時、教育に関するさまざまな仕掛けを考えていて、たとえば、「ふくおかフリースクールフレンドシッップ協議会」(箱崎自由学舎えすぺらんさ内)もその一つ。
そんな趣旨のもと、刊行された「子どもたちの多様な学びを支える居場所情報誌」には、福岡県下42のフリースクール、オルタナティブスクールが紹介されています。たとえば、「えすぺらんさ」はこんな感じ。
不登校当事者家族が知りたい情報が、わかりやすく、でも詳細に紹介されています。特にありがたいと思ったのは、「学費」についてきちんと記載してあるところ。「詳細はお電話にて(メールにて)」というクローズドな部分が一切ありません。これは本誌に掲載されている42校全てそうなっています。わが子が不登校を経験して、身にしみて思うのは、体質さえ合えば、やはり学校はコスパが極めて高い教育機関であるということ。学びに対する経済的な不安はない方がいいに決まっています。その部分をあらかじめクリアにしてくれているところにも誠意を感じました。ちなみに、「えすぺらんさ」に関しては、記載された以上の追加料金は発生しないそうです。体験活動などの学外イベントも全てその際の「手出し」なし。さらには通学の際の学割制度についても一緒に考えてくれるなど、学びにかかるコスト削減に注力していらっしゃるようでした。これ、実際ありがたいですよね。
多様な学びの可能性を日々模索している上村さん。今、気になっていることをうかがうと、以下二点を挙げてくださいました。
1 不登校当事者とその保護者の経済的負担を減らしたい。
それは政治によって、社会的な制度として整備されるべきだというのが上村さんのお考え。この日聞いたお話を後日、ご自身のfacebookに投稿してくださいました。ご一読ください。
〈以下Facebook投稿〉
滋賀県草津市、佐賀県江北市、両自治体がフリースクールへ通う子たちへの経済的支援を施策として始める後鳥羽把握してる。自分も両自治体の予算規模、それぞれの自治体の不登校児童生徒数など調べてみた。自分らフリースクールの人間からするとなかなかインパクトあるニュースではあるんだけど、見出しのインパクト程の予算は残念ながらついてない。たぶんこのままのコンテンツでは福岡市にはもってこれないかなあとも思ったりする。一般会計規模だけでは比較できないし、不登校児童生徒数だけでも比較できないけどねえ。とはいえ、ありがたい制度だと思うし、これから先ひつになってくる制度だと思う。多様な学び、多様な教育環境を民間だけで担うのはぶっちゃけ限界にきてると自分は思ってる。さあて、福岡でこういう制度を作ってく上で、自分は何すっかねえ。
2 不登校に関する情報の拡散。
不登校に対する情報の貧困が引き起こす誤解や偏見。それが結果的に不登校当事者やその保護者の孤立を深め、問題を大きくしている現状を鑑みたとき、知ってもらうこと、情報を伝え続けることはやはり重要だと考えていらっしゃいました。
なるほど。
私たち「咲くふぁ福岡」は不登校当事者およびそのご家族(保護者)に寄り添う支援活動をテーマにしています。そのスタンスにぶれはないけれど、でも一方で制度として保障された支援があれば……と歯がゆく思うこともしばしばでした。今回「えすぺらんさ」を訪問し、上村さんにお話をうかがう中で、その制度に果敢に切り込んでいく「あにき」の姿を垣間見ることができたのは何よりうれしいことでした。
帰り際、拝見した学習スペースの明るさと、そこに置かれた水槽の中を泳ぐ美しいグッピーたちに心癒されました。この空間、居心地いいだろうなあ。
お話してくださった「あにき」上村一隆さん、そしてにこやかにお送りくださった「えすぺらんさ」代表小田哲也さん(この方がまたとても魅力的で、あらためてお話を聴きたく思った両トラでした。笑笑)、スタッフのみなさま、ほんとうにありがとうございました。「えすぺらんさ」の魅力の一端でも表現できていればいいのですが……。また遊びにいかせてくださいね。
さなトラ 藤野早苗