「福岡子どもにやさしいまち・子どもの権利研究会」レポート〜その②〜
2020年 11月 03日
「新型コロナウイルス感染症流行が子どもに与えた影響」レポ。後半です。
世界に広がる18歳までの子どもの声に耳を澄ます電話「チャイルドライン」。
日本では1998年から始まり、現在42都道府県、71の団体が、全国統一のフリーダイヤル(0120ー99ー7777)で毎日16〜21時に実施しています。
学校を通じて、子どもたちにカードが配られているので、目にされたことがある方もいらっしゃると思います。
今回、福岡で活動されている「チャイルドラインもしもしキモチ」代表の三宅玲子氏から、「新型コロナウイルス感染症流行に関する主な出来事チャイルドラインの様子」として報告がありました。
チャイルドラインでは、ただ、子どもの話に耳を傾けます。意見、お説教など絶対にしない。子どもは名前を言わなくていいし、話をやめたくなったらやめていい、秘密は守られます。
そこにあるのは、1人の人間として子どもの主体性を尊重すること。
聴いてもらえる安心感を得て、子どもの本当の気持ちが出されていくのです。
三宅氏は、
「チャイルドラインを始めた時、10年後にはこんな電話は必要のない社会になっていることを目指したい、そう思っていました。でも現実、子どもの苦しみは10年経っても変わらない、いや逆に増えていると感じています。」と言われます。
子どもの孤立化、家族関係の希薄化、学校の一律化…見えてくるのはそんな社会の中でもがく子どもたちの姿だと言います。
そして今回のコロナ禍では、改めてさまざまな問題が浮き彫りになりました。
突然の休校、緊急事態宣言。
子どもたちから出てくる話は、コロナ感染への不安、怖さ、学校がないことでの生活リズムの乱れの不安、家族との関係が変わってしまったことへの不安、などなど。
大人も子どももストレスが溜まり、普段からつらい状態にある子どもが追い詰められている状況、困窮している状況も伺えました。
「親の仕事が心配」
「親が疲れていて自分にあたってくるのがきつい」
「今までは外に逃げていたけれどそれもできない。学校は避難場所だったんだ。」という声も。
「ハウス」はあっても「ホーム」のない子どもたちがたくさんいるのだ…という現実です。
緊急事態宣言が解除され、学校が再開しても子どもたちの不安はおさまることなく、これまで日常に埋れていた問題が噴き出してきているといえます。
「子どもの声は社会の鏡です」
「声にならない声にきちんと耳を傾けてほしいのです」
長年チャイルドラインで子どもたちの声に耳を傾け続けてこられた三宅氏の言葉には重みがありました。
続いて、「社会的養護の子どもたちが経験したコロナ禍」子どもNPOセンター福岡の牛島恭子氏からの報告。
なんらかの事情により親と暮らせない子どもたちが、今回のコロナ禍ではどうだったか。
福岡市内の児童福祉施設、里親家庭、ファミリーホームに質問し、郵送またはインターネットを介してアンケートに答えていただいたものがまとめられていました。
やはり、子どもたちへの影響は少なからずあり、養育者へのサポートが不足していたことが見えてきたようです。
今後は養育者へのストレス緩和の必要性が多大にあり、孤立しないための支援体制作りが求められます。
今回の研究会に参加して、「子どもの権利」とは「子どもを主体性を持つ存在である」と認識していくことの重要性を再確認させていただきました。
そして、そのような社会であるためには、子どもを取り巻く大人に余裕がなければならないと思います。
経済的にも、精神的にも。
私たち「咲くふぁ福岡」ができることは、孤立しがちな子どもと保護者に寄り添うこと。
話を聴かせていただいて、少しでも肩の力を抜いて、その子らしく生きていけるような伴走者となれればと思っています。
もともと不登校だった子どもたちは、
「みんなコロナで学校が休みになってつまらないと言っているけど、自分は学校に行く必要がなくなりほっとしています。」
とチャイルドラインで話したそうです。
また、オンライン授業で、不登校だった子どもが授業に参加できるようになった、その後学校再開後に登校するようになった、という話もありました。
実は、学校でなくても学ぶことはできるということに、大人も子どもも気づくことができた。
コロナ禍がもたらしたのは「問題」ばかりではないということも付け加えておきたいと思います。
しょこトラ 水元晶子