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市川雅美先生講演会、ご来場ありがとうございました

7月7日、咲くふぁ福岡企画講演会「不登校〜カウンセラーの視点から見えてくるもの」、無事盛会のうちに終了いたしました。

ご来場下さったみなさま、ありがとうございました。
講師の市川雅美先生、おつかれさまでした。

すでにSNSに講演内容をアップしていただいております(後藤弁護士、ありがとうございます)。講演内容はどんどん拡散お願いいたします。不登校当事者やその家族を支援する、とても実践的なお話でした。


市川雅美先生は、公認心理師でもある臨床心理士、つまりカウンセラーです。2001年(平成13年)のスクールカウンセラー配置の際、いち早く配属され、学校の内側から、不登校をはじめとする諸問題をご覧になっていらっしゃいました。

その後、市川カウンセリングオフィスを立ち上げ、家族問題、家族療法を基盤とするアプローチで、たくさんのクライエントさんに関わってこられました。

そんな市川先生には、不登校問題の現状はどのように映っているのでしょう。以下、講演内容を抄出しました。


不登校という概念は元々、欧米由来。怠学であると考えられていました。1932年頃のことです。以来、その原因を(母子)分離不安や、学校恐怖症などに求めましたが、結局結論は出ないまま、登校拒否といった呼称を経て、現在の「不登校」にいたります。

スクールカウンセラーとして、この問題に関わり、わかったのは、不登校は全ての児童、生徒に起こりうる問題だし、それは、学校という場所に今のようなストレスがかかるうちは変わらないだろうということ。

学校という場所にはなぜこんな過重なストレスがかかるのか。その原因のひとつに、「子どもの権利条約」の存在があるのではないかと市川先生は考えています。

子どもの権利条約の4本の柱
・生きる権利
・守られる権利
・育つ権利
・参加する権利
これが遵守されていない、それ以前にその存在すら知られていないところに、不登校問題の根深さがある。子どもたちが授かって当然の権利が保障されていない日本の人権意識は、先進諸国の中で大きく出遅れているのが実情で、18歳以下の自殺者が最も多い国という事実は憂うべき問題です。

そうした現況下、実際に子どもが不登校になった時、最も心を痛めるのは家族です。子ども自身は登校するエネルギーすらないわけですから、カウンセリングを勧めても動くことはできないでしょう。そんな時は、子ども本人ではなく、たとえば家族の中の誰かが、カウンセリングを受けてみるのも一つです。

疲れて動けない子どもに負荷をかけるより、家族の変容によって問題解決を図る、これが、市川先生のご専門、家族療法のアプローチです。

市川先生のアプローチの手法は、問題の原因を探求し、それを一つ一つ潰していく、というものではなく、自身が望む状態へ変容するための手法を探る解決構築法と呼ばれるものです。

子どもが不登校になると、何が悪かったのか、つい原因を究明しがちですが、それをすることで立ち止まるより、解決のために有効であったことを強化することが大事、という考え方です。

たとえば、

今日は登校干渉をせずに、ゆっくり眠らせたら、元気が出て、子どもとの話が弾んだ。

という状況であれば、まずはゆっくり眠らせる。これが解決への一歩になります。

不登校問題の解決を再登校と考えれば、上記の状態はなかなかご理解いただけないかもしれません。しかし、本来、学校とは、子どもたちが自ら生きる力を育む場所であるはず。なのに、そこに行くこと、いることが辛くてたまらないのなら、別の場所で自分らしい、多様な生き方を考えることも可能なのです。

なかなか気づくことはありませんが、私たちは旧来の価値観にがんじがらめにされながら生きています。でも、ここで一回、その窮屈な価値観を棚上げしませんか。社会通念が必ずしも正しいわけではありません。

自分と同じ考え方、価値観を共有する方々と連携するのもいいでしょう。背景にある社会を抜きにして不登校問題を考えることはできません。

不登校のお子さんをお持ちの方々に、市川先生からこんなメッセージをいただきました。


この子は何も悪くないし、
あなたも何も悪くない。


さらに言うなら、不登校は悪いことではありません。
「不登校は悪いこと」
今こそ、その価値観を棚上げする時です。

市川雅美先生講演会、ご来場ありがとうございました_d0378078_08444256.jpeg

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講演の後、約一時間、質疑応答の時間を取りました。実は、さらにここからが圧巻。

プライバシーに関することなので、具体的なことは申し上げられませんが、市川先生のお人柄か、ご自身のケースを開示される方がいらっしゃいました。深刻なお話もありました。

限られた時間でしたが、その中で市川先生が日頃実践されているカウンセリング手法の一端を垣間見ることができました。

何気ない会話のようにも思えましたが、やりとりを重ねるうちに質問者さんのエネルギーが高まっていくのがわかりました。

市川先生、やはりすごい。

解決構築法的アプローチ、メモメモ。

*️⃣咲くふぁ福岡企画講演会vol.2は、10月26日土曜日です。講師に後藤富和弁護士をお迎えして、不登校と人権に関するお話をしていただきます。詳細はまた、SNSにアップいたしますが、その日、10月26日を予定表にご記入願います。

みなさま、本当にありがとうございました。
咲くふぁ3トラ、重ねてお礼申し上げます。


さなトラ 藤野早苗

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講演会終了後の懇親会@福天。
どなたでも参加可能。
すごく楽しいので、次回ぜひご参加を。










by sacfa2018 | 2019-07-08 07:14 | 講演会 | Comments(0)

不登校当事者に伴走するボランティア「咲くふぁ福岡」です。当事者の話す会「アガパンサスカフェ」もやってます。


by sacfa2018
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