あなたが謝ってくれれば、この場が丸くおさまるのよ。
あなたが謝ってくれれば、その後はきちんと相手にも謝ってもらうから。
これ、どういうシチュエーションでの言葉だと思いますか?
会社?
警察?
いいえ、学校です。リアルタイムで起きていることです。先日紹介した『かがみの孤城』の中にもそんなくだりがありました。
主人公こころをいじめた女生徒が、こころに対して詫びの手紙を書きました。その手紙は全く気持ちがこもっていないもので、こころとしては一層傷つけられた気分になりました。なのに、その手紙を届けにきた担任は、こころに対して、手紙を書いた子の気持ちを汲んで、返事を書いてはどうか…などと無神経極まりない提言をしたのでした。
謝るとか、和解とか、いったいそれは誰のためにあるものなのでしょう。この学校には何の問題もありませんよ…、それをアピールすることがそんなに大切ですか。
そして、約束は守られませんでした。ことの経緯の詳細は記せませんが、その子に非はないのに謝らされ、彼女に謝ってくれる人は誰もいませんでした。
スケープゴート。生贄の山羊。そうして学校の安寧は守られるのでしょう。では、子どもの心の安寧は? 尊厳は?
子どもを犠牲にして問題を解決しようとする大人たちの不誠実さに言葉を失いました。学校はいつから不条理への耐性を鍛える場になったのでしょう。誰か教えて下さい。
さなトラ 藤野早苗
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