PTG:Post Traumatic Growth〜人は再生できる〜
2019年 01月 17日
心的外傷後成長(PTG:Post Traumatic Growth)とは、辛く苦しい体験をした後に強くなる、人間的に成長することで、1990年代後半からの比較的新しい概念です。
事故、病気、災害などで心に大きな傷を負った後、苦しさを何年も抱え続けていく人がいます。表面的には気にしていないようにしてそのまま苦しさに蓋をしてしまうと、何年も経ってから苦しさが噴き出してくることもあります。
番組内で、阪神淡路大震災で、中1の時2つ上の姉を亡くした女性、育ち盛りの子どもがいる中でがんと診断された女性、阪神淡路大震災の時、救急医療にあたり、助ける命を判別しなければならなかったことに苦しんだという医師の男性が紹介されました。
それぞれ、自分の苦しさを誰にも言えずに、自責の念、不安、後悔にかられて苦しい日々を過ごしていた中、救いとなったのは「自分の体験を話す」ということだったそうです。
聴いてもらえる人に、自分の苦しみを吐露する、話すのが苦手な人は書く。めちゃくちゃでもいいから書く。
そうしているうちに、自分を客観的に冷静に見られるようになってきたり、今やるべきことはなんなのか、と考えられるようになってきたりしたといいます。
紹介された方々は、それぞれ前を向いて今を過ごされています。「PTG」の状態になったのです。
つらい、つらいことがあった、それでも今自分は生きている。このままの自分で、今できることをやっていこう、そう静かに思えるようになったというのです。
スタジオではタレントの風見しんごさんと生稲晃子さんも、やはりそれぞれの体験から「話す」「書く」ことの力を認めていました。このお二人の話もとても心に沁みました。
「PTG」のGは、「成長」ですが、これは苦しいことの後には成長せねばならない、ということではありません。
「再生」というようなニュアンスの方がふさわしいように思えます。
苦しい体験は「乗り越えなくてもいい」と私は思います。
どんな体験も、いいことも良くないことも、自分に起こったことだから、自分の中に入っている。なかったことにはできないから。
つらかったことも、全て含めて今の自分を認めたらいい。
なんとかなる、どうにかなる。今、苦しくても。
悲しかったら泣く、喚いたっていい。
きついときは、きついよーと誰かに助けてもらう。
苦しさを、自分だけで抱え込まずに。
助けてくれる人は、必ずいるから。
今日1月17日、24年前に阪神淡路大震災が起きた日。合掌。
高島野十郎「蝋燭」
しょこトラ 水元晶子