『かがみの孤城』不登校の子どもたちへ

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この本、当ブログ登場は二度目。2018年5月3日にしょこトラが記事を書いています。

そう、実はこの本、しょこトラから借りたのです。もう何カ月も前に。なかなか読めなかったのは、忙しかったから…ではありません。しょこトラからすごく面白いよ、ファンタジー小説だけど、でもすごくリアル、と聞いてそれでちょっと竦んでしまったのです。不登校という現実と向き合っていたあの頃がflash backしたらどうしよう…。そんな思いがこの本から私を遠ざけていたのでした。

松の内も過ぎ、日常が戻ってきた感じの昨日、借りたままだったこの本が急に気になりはじめ、そろそろしょこトラに返さねば、と手に取りました。ちょっとだけ読んでみようかな…、パラパラとページをめくり、行を追う。するともういけません。はっと気づくと4時間が経過。554ページを読了してしまっていたのでした。

いや、本当に面白かった。7人の不登校の中学生の設定が実にリアル。エピソードがよく練られていて、心を寄せやすいところが良かった。7人の中のひとり、中学1年女子こころの視点から物語は語られます。こころ以外のメンバーの生い立ちや、不登校になった理由は、断片的に語られはしますが、なかなか全容解明されません。ようやく最終章で怒涛のネタバレが展開され、7人が生きている現実と、この物語の骨子となっているファンタジー部分の謎が明らかにされるのでした。とにかく上手い構成でした。いたるところに伏線が張り巡らされていて、それが全てきちんと回収されている。ファンタジーなのに整合性がある。読後感スッキリの一冊でした。

あらすじ、内容については、ぜひご自身でお読みいただきたいと思いますが、興味を持っていただくために、この本の中から何カ所か、気になった部分を引用してご紹介したいと思います。

・主婦の人が街角でインタビューされていて「子どもが学校に行ってる間に」と何気なく一言告げるだけで、学校に行けてない自分はダメなやつだと非難されている気持ちになる。(20頁)

・学校は、絶対に戻らなきゃいけないところってわけじゃない。今の第五中でも、隣の中学でも、こころちゃんが行きたくないと思うのなら、私たちは、他にこころちゃんがどうすればいいのか—-どうしたいのか、いくらでも一緒に考えるよ。『心の教室』に来てもいいし、自宅学習って形にできるかどうかも考える。こころちゃんには選択肢がたくさんあるの(395頁)

・胸を張って学校に向かえるのは、ここだけが居場所じゃないと教えてもらったからだ。転校してしまった東条萌ちゃんはもういないけれど、あの子が言った言葉が強く心に残っている。たかが学校。自分には他にも行ける場所があるような、そんな気がしている。(544頁)

様々な理由で不登校になる子どもたち。その経緯を辿ることは時に苦しいことでした。ネタバレになってしまったら申し訳ないのですが、これは再生の物語です。学校に行くとか行かないとか、問題はその次元を超えて、子どもたちそれぞれが、傷ついた魂の再生を果たす、その姿を描いた作品なのでした。

ぜひご一読下さい。見えなかった子どもの心が少しずつ見えてくるような気がします。

さなトラ 藤野早苗

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by sacfa2018 | 2019-01-09 00:10 | 不登校 | Comments(0)

不登校問題当事者であった経験からその時のこと、またこれからのことを日々綴っていきたいと思います。


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