特別な旅~息子とドイツ~
2018年 12月 30日
例えば、スーツケースに荷物を(さもやりたくなさそうに)ぐちゃぐちゃに詰める息子に「ああ、もう!」と口を出し始めると
「そんな口調で言うなら、(ひきこもっていた頃を)思い出して(辛くなってやるぞ)…!」
と返される。
旅行の間中、私はことあるごとにこの言葉に向き合わなければならなかった。…この旅は私のふりかえりの場でもあった。
(一緒に行ったということを言うのがどうも抵抗があるようでした。それで、フェイスブックの旅行記では皆様には申し上げておりませんでした)
息子が中学で引きこもっていたとき、なんとか外の世界に出てほしいと願った。
じっと元気が出るまで待てばいいというけれど、本音はその中でもできることはしていきたいと思っていた。そうせずにはいられなかった。
加えて、卒業後の身の振り方が定まってなかった彼の身分を支える何かが欲しかった。それでパスポートをとらないかと持ち掛けたのだが、彼は二つ返事で了解したのだった。「あなたを縛るものなどない。どこにだって行けるよ」というメッセージを息子は受け止めてくれたのだと思う。
中学を卒業後は、少しずつ外に出るようになっていった。外出をしては帰る道に迷いながらも、外の世界に息子は慣れていった。
イザークとユリウスとクラウス(⋈◍>◡<◍)。✧♡きゃー、懐かしい。まさにこの地の音楽学校という設定だったんだな。さらにラストのユリウスとヤーコプの対峙。アネロッテ様!息子はドナウ川のここに違いないという。うむうむ。ネットで探せばいろいろと探訪サイトが出てくる。なるほど~。
(画像、お借りしています)
今回訪れたのはどちらもドイツの南方バイエルン地方。ミュンヘンを拠点に移動がしやすかった(降りる駅を間違えたけれど💦)。
夫も私も日頃から、息子たちに日本ではない場所も知ってほしいねと話し合ってはいた。今回、このようにして快く送り出してくれた夫に、感謝するばかりだ。
そして、こんな旅がしたいのだとプランを述べる息子の意図を十分にくみ取ってくださった旅行社のサポートを得て、今回の旅は実現した。
行く先々でサービスを受け、それぞれに満足したのだけれど、無償の親切に触れることができたのは心にしみた。お世話になった方々にこの場を借りて感謝を表したいと思う。
そしてそして、私たちには携帯Wi-Fiという強い味方がいた。これなくしては、フリープランでの旅行は成り立たなかった。それでも間違えてばかりだったのだが。帰国して「調べ不足!」とは、夫の一言でありました。
旅のひとこまたりとも逃すまいと、彼は膨大な量の写真を撮った。そして、太陽が美しいのだと言った。冬の薄雲った中に時折差し込む光と、雲を透かしてその形を表す日食のような太陽が美しいのだと。
私は影が美しいと思った。屋根のシルエット。ランプや縦格子の影。そしてそれらを映し出す壁もまた。
オレ、ドイツ好きだわあと何度も繰り返す息子。繭ごもりの中で、彼は憧れの土地の地理や歴史を幾度も反芻していたのだろう。そうするうちに、初めての場所がすでに懐かしい拠り所にすらなっていたのかもしれない。
これは彼にとって、特別な旅だろうか?
魂の場所に向かうという意味では、むしろ当然の旅と言うべきなのかもしれない。
くにトラ 鈴木久仁子
今年のくにトラの記事はこれが最後です。
みなさま、よいお年をお迎えください🎍
来年もよろしくお願いいたします🐗
ネルトリンゲンは豚に救われたという言い伝えがあるのだとか
HPもご覧ください🎍
http://sacfa.yubunsuzuki.com/