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前川喜平さん講演会バックヤードストーリー 五分間の攻防

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 12月8日、今年一番の寒波の中、前川喜平さん講演会「不登校から見えてくる教育の未来~多様性を考える」にお越しいただき、まことにありがとうございました。この寒さ、まして、開演10時という状況ではチケット完売ではあっても、観覧者激減という事態も覚悟していたのですが、蓋を開けてみれば、場内大盛況。一番乗りのお客様はスタッフ集合時間と同じ頃、激寒の戸外で並んで下さっていた、という申し訳ない状態でした。本当にすみません。さぞかしお身体が冷えてしまわれたことでしょう。お詫び申し上げます。

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 ご来場のみなさまのかくのごとき熱い「前川愛」がわれわれスタッフにもびんびん伝わり、自然、準備にも熱が入ります。当日の動きは、鈴木くにトラが昨日のブログで書いてくれていた通り。エントランス、誘導、会場、舞台、それぞれの持ち場で全力を尽くしていただいたこと、どれほど感謝しても足りません。ボランティアスタッフのみなさま、本当にありがとうございました。

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手話通訳の方の奮闘が伝わります。

 今回の講演会については本当に驚かされることばかり。その一つが、講演会終了後の、参加者のみなさまからのレスポンスの早さです。講演終了後、すぐに何人かの方が講演内容の詳細なレポをネットにアップして下さっていたのでした。これってほぼ同時入力ですよね。前川さんの語り口そのままに記されたレポを読みながら、この講演会を開催して良かったとあらためて思ったことでした。チケットが手に入らなかった方、遠方の方、予定がバッティングしていた方、当日思いがけない寒さや何らかの事情でご参加叶わなかった方、そういう方々にもこの講演内容をお伝えしたい……そう思っていた私たちでしたが、そんな思惑を超える参加者の熱意の発動に感動してしまいました。(講演会内容については、「咲くふぁ福岡」から文面、youtubeでアップする予定です。少々お待ち下さい。)


 さて、当日、私は舞台袖で「影アナ」という、ご来場のみなさまにいくつかのお願い、ご連絡をアナウンスメントする係をしていました。講演者前川喜平さんを横から見ていたわけです。ここからはちょっとした裏話。前川さんとスタッフの「終演後五分」をめぐる攻防です。


 私たち「咲くふぁ福岡」が前川喜平さんに講演をしていただきたいと思った経緯については当ブログにも何度か書きました。講演会当日に配布したパンフレットにも記載しています(これですね)。

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 依頼承諾から約10カ月、その間、前川さんとのやりとりはメールのみ。しかもそれもほんのわずか。講演会のタイトル「不登校から見えてくる教育の未来~多様性を考える」も私たちが勝手に考えたもので、それを前川さんにお願いしたっきり状態。何の打ち合わせもしていませんでした。まあそのあたりの心配をせずに突っ走ったのは素人ならではの大胆さといえるかもしれません。だから講演会冒頭、前川さんが舞台右手上方の垂れ書き「不登校から見えてくる教育の未来~多様性を考える」を見上げながら「これはなかなか深い示唆のあるタイトルだと思うのですよね」とおっしゃったときは嬉しかった。ああ、意に添うタイトルであったのだ、と。客観的に考えればあまりにも「今更…」的な感慨ですよね。でも実は現場はそういう状態だったのです。

 

 このテーマに沿ってユーモアあふれる語り口で(オヤジギャグを織り込みつつ、ところどころでスベりつつ)、ご自身の不登校経験、教育と憲法の関係、臨教審のパラドックス…などなどに話題は及び、場内はどんどんヒートアップ。が、しかし、この時すでに11時35分。タイムキーパーの山本裕子さんが「10分前」のカードを提示したタイミング。けれど前川さんはこれまでの話題の回収に入るどころか、それをインボルビングしながら、「多様性」という切り口からさらにLGBTQ問題、移民問題、夜間中学問題へ展開し始める始末()


「おいっっっ!」


 舞台袖にいたスタッフはみんなそんな顔になりました。思い返せば11月23日、ワーカーズコープ主催の講演会で、前川さんはあまりにも興に乗ってしまい予定時間を大幅に超えて、半ば強制的に() 降壇さ(せら)れたのでした。しかし、あの時は西南学院大チャペルが会場であったこと、その次に鼎談の時間が設けられていたことで時間オーバーしても調整可能だったわけですが、今回都久志会館には13時から別の予約が入っていて、終演時間厳守の旨、重々念押しされていたのでした。前日開いた懇親会の席上でも前川さんには何度もお願いしておきました。「来場者もスタッフも、一秒でも長く前川さんのお話を聴きたい、けれど、今回はどうしても事情が許さないので、どうかその点よろしくお願いします。」と。


 しかしそこは「面従腹背」。「わかりました」と笑顔で応じておきながら、こちらの事情をまったく「忖度」しないという自己矛盾しないスタイル、さすがです。緊張の10分が過ぎてゆきます。時間を知らせるカードはもう「終了」になっているはず。袖にいたくにトラと私、そして会場内にいたしょこトラもそこにやってきて、もう影アナ入れて強制終了するか、また手話通訳さんはもう一度交替すべきかどうか、などバックヤードのバタつきはけっこう大変だったのです。時折、こちらをちらりと見る前川さんのちょっといたずらっぽい表情に笑ってしまった自分が情けない。


「みなさん、ここ、午後から別の予定があるそうなので、私の話が終わったら、すぐ退場してくださいね。」


って、前川さん、その話、いつ終わるんですか、と心で叫んでいたスタッフは私一人ではなかったはず。終了予定時間を五分過ぎた頃、ようやく前川さんがテーマの回収に入りました。そこからの鮮やかな総括はさすがです。ああ、最初から五分は超過する心づもりでいらしたのだと、その時わかりました。「一秒でも長く」という私たちの思いを遥かに超えて五分も長く講演下さった前川さんの優しさに深く感謝いたします(晋三じゃない、心臓バクバクしましたけどね)。


 「あと一時間はほしかった」とおっしゃった前川さん。わかりました。そうおっしゃるなら第二弾。会場のみなさまからは割れんばかりの賛同の拍手を頂戴いたしました。博多の人間に二言はない。ぜひ、もう一度、「前川喜平さん講演会」を開催いたしましょう。その際にはみなさま、またご来場下さいませ。

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「第二弾」をお約束下さった証拠写真。画像左隅の手にご注目下さい。
終演を迫る代表くにトラの手。
必死さが伝わりますね。

 前川さん、ご来場のみなさま、またご来場は叶わなかったけれどさまざまな場面で声援下さったみなさま、実行委員はじめスタッフのみなさま、本当に本当にありがとうございました。

 くにトラ、しょこトラ、私たち頑張ったよね。少しくらい自分を褒めてもいいよね。そうしてまた一緒に走ろうね。

 言い尽くせない感謝を込めて。

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講演終了後、控室にて。
この後、すぐ車中の人に。
前川さん、ありがとうございました。

   さなトラ  藤野早苗







by sacfa2018 | 2018-12-10 10:17 | 不登校支援 | Comments(0)

不登校当事者に伴走するボランティア「咲くふぁ福岡」です。当事者の話す会「アガパンサスカフェ」もやってます。


by sacfa2018
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