時が来れば…

娘が2歳になろうとする頃のこと。

ずっと忘れていたけど、娘はteeth ring(おしゃぶり)を使っていた。機嫌が安定しない子で、気に入らないことがあるとずっとグズる。何がダメなのが言えればいいが、なんせまだ赤ちゃん。私も新米母。グズり続ける娘に、ためしにteeth ringはどうかしら、と与えたところこれが、ヒット。trを使っている間は機嫌が安定したのだ。

これ幸いとtrを愛用していたある日、小児歯科の先生から指導が入った。もうかなり歯が生え揃ってきた頃だったと思う。

「このままtr使い続けていると、歯並びに問題がでますよ。」

あー、やはり。気にはなっていたが、何度取り上げても娘はtrに執着して結局また使い始めてしまうのだった。でももう2歳の誕生日間近。本当に何とかしないと…と思っていた矢先の歯科医の指導。ダメもとで「先生から娘に言い聞かせていただけませんか。」とお願いしてみたら、意外にも先生、快諾。小さな娘を目の前の大きな椅子に座らせて、先生は話し始めた。

先生は女医さん。クールなタイプ。私よりちょっと年上。その人が2歳前の子どもを前に、なぜ今、trを使い続けるとまずいのかをこんこんと言い聞かせる。赤ちゃん言葉は使わない。娘のことも◯◯さんと呼び、人格を尊重した扱いだ。娘もおとなしく椅子に座り、先生の目をじっと見つめている。話の内容が理解できてはいないとは思うが、集中しているのはわかる。

ちょっとシュールな数分が過ぎ、先生にお礼を言い、歯科医を後にする。娘の口には早速、愛用のtr。まあ、先生に言われたところで、trやめるはずないよね、と思っていたところ、帰宅した途端に異変が。

台所のテーブルに、娘がコトンとtrを置いたのである。そして、くるりと向きを変えて歩き出し、長く愛用したtrを顧みることはなかった。今思い出しても不思議である。

こんな状態がいったいいつまで続くんだろう…。そんな気持ちになることって、結構ある。でも、きっと終わるタイミングはあらかじめ決まっていて、その時がきたら、人は自然とそこから離れるのだと思う。そんな状態に身を置くのは、今、その人に「そんな状態」が必要だから。

歯科医の先生の魔法にかかったように、trとお別れした娘だったが、それは多分、娘の中でちょうどtrをやめる機が熟していたのだろう。

テーブルにteeth ringをコトンと置いて立ち去る娘は、ステージにそっとマイクを置いた山口百恵のようで、ちょっと感動した私であった。
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さなトラ 藤野早苗

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10/20 一般社団法人「福岡おやじたい」主催のMAZEKOZEセミナーてお話する機会をいただきました。3トラ揃い踏みで、不登校について、多様性についてお話させていただきます。
ぜひご来場くださいませ。
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by sacfa2018 | 2018-10-15 06:58 | 子育て | Comments(0)

不登校問題当事者であった経験からその時のこと、またこれからのことを日々綴っていきたいと思います。


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