人権を考える

9月15日土曜日、一般社団法人「福岡おやじたい」主催の「人権に関するシンポジウム~共に生きる社会の実現に向けて」@ふくふくプラザ
に参加。お二人の弁護士の方から貴重なお話を聞かせていただきました。

最初に登壇されたのは労働問題、生活保護・貧困問題、障がい者問題、消費者問題に詳しい星野圭弁護士。「国家が人を選別する悲劇~旧優生保護法がもたらした被害に学ぶ」というテーマのご講演。

「優生保護法」という法律の名のもとに、国家が「異質な存在」を社会からいかに排除してきたかを、時代背景を明らかにしながらわかりやすく解説していただきました。1948年に制定されたこの法律が1996年に「母体保護法」となるまでの約50年間存在し続け、命の選別が行われ続けていたこと(ピークは1960~70年代)に恐怖を感じました。この法律と根を同じくするのが、あのナチスのホロコーストですが、ドイツにはそれに先立って民族浄化のための「T4作戦」=価値なき命の抹殺により20万人の命が失われたのでした。

このような悲惨な事態が知られるようになったのは、実はここ数年です。かくも悲惨な、人間の尊厳を踏みにじるようなことを合法化してしまう法律の存在を許容してしまっていた私自身の人権意識を恥ずかしく思いました。知らなかったのではなく、知ろうとしなかった。なぜならそれは自分に関わりのないことだと思っていたからです。でも、本当にそうなのか?関わりのないことなのか。

星野弁護士がお持ち下さった『わたしで最後にして:ナチスの障害者虐殺と優生思想』(藤井克徳著)という本の中に、
「非生産的な市民を殺してもいいとするならばいま弱者として標的にされている精神病者だけでなく、非生産的な人、病人、傷病兵、仕事で体が不自由になった人すべて、老いて弱ったときの私たちすべてを殺すことが許されるだろう。」
というフォン・ガーレン司教の言葉が引用されていました。自身が「健全な」社会からはみ出した存在になったとき、私たちは選別される命であることを肯えるのでしょうか。人権への無理解・無関心はやがて私たち自身を傷つける刃となるにちがいありません。
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お二人目は、子ども問題に詳しい佐川民弁護士。「LGBTと制服について」というテーマのご講演。

LGBT(性的マイノリティと解説されることが多いですが、むしろ多様な性と表現した方がいいように思います)とは何かということから始まり、学校現場でこのような子どもたちが感じている生きづらさについて具体的に説明していただきました。特にその象徴が制服。実際の性別と性自認が一致している人間にとっては当たり前の男女で違う制服の形態は、トランスジェンダーの人間にとっては耐えられない着衣であるということを理解してほしい。それは「わがまま」なのではなく、牛乳や小麦を摂取すると引き起こされるアレルギーと同じで、本人の意思ではどうにもできない反応なのだということを理解してほしいとお話しされました。

そもそも「制服」と呼ばれているものは「標準服」。着用が望ましいとされるにとどまるものであって、着用するか否かの裁量は学校長にあります。これを強制するのはそもそもが「子どもの自己決定権の侵害」に当たるのです。つまり、これも人権の問題。校則の名のもとに行われる理不尽な人権侵害。その被害を最小に抑えるために、今福岡市内では、標準服のデザインを、従来の男子は詰襟・女子はセーラー服から、男女ともにブレザーで、スカート、ズボンは自由に選べる形式に変える方向を検討中だそうです。スカートかズボンかは気候・天候で選べるようにして、どちらを選んだかで、性自認の表明にならないように配慮するとのこと。行き届いていると思いました。しかしながら、現実はなかなか厳しく、学校内でも賛同を得られないこともあり、地域に関してはかなり否定的な意見を寄せてくる人々が多いとのこと。残念ながらまだまだ認知されていない問題なのでしょう。今後の根気強い活動が肝要です。

お二人の弁護士のご講演を聞いて、いかに自分が人権意識の稀薄な人間であったかを痛感しました。不登校という切り口から「多様性」を考えるなどと言ってはいても、そこから離れた途端、人権について思考停止状態になってしまう自分が情けない。反省を促された一日でした。

星野弁護士、佐川弁護士、有意義なお話、ありがとうございました。
機会があればぜひ、もっと多くの方々に聞いていただきたい講演でした。

   さなトラ 藤野早苗

ホームページもご覧ください。

*お知らせ
10月20日土曜日 19:30-20:40 ふくふくプラザ5階503研修室
私たち「咲くふぁ福岡」が「不登校であったからこそ~当事者の語る不登校」というテーマでお話しさせていただきます。3トラもれなく登壇いたします。詳細は以下のフライヤーでご確認下さい。
みなさまのご来場、お待ち申し上げております。よろしくお願いいたします。
社団法人「福岡おやじたい」主催の「MAZEKOZEセミナーPart9~共に生きる社会への実現に向けて~」にお呼びいただきました。「おやじたい」のみなさま、ありがとうございます。
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懇親会で、佐川民弁護士を囲む背後霊…ではなく、さなトラとくにトラ。しょこトラはこの日体調メンテナンス中。忙しかったからね。残念。

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by sacfa2018 | 2018-09-17 02:02 | Comments(0)

不登校問題当事者であった経験からその時のこと、またこれからのことを日々綴っていきたいと思います。


by sacfa2018