彼女をめぐる人々②

去年の今頃、私はほぼ毎週末上京していた。希望していた大学に入学し、数学を学ぶことを楽しみにしていた娘だったが、これまで学んできた数学と、大学で学ぶ数学の質的な違いに衝撃を受け、できないのは自分だけなのではないか、と思い詰めていたからである。

かと言って、数学に全く暗い私に何ができるわけでもなく、ただ知人の知人という伝手を辿ってご紹介いただいた、娘の大学の先生(直接はご指導いただくことはない)と電話でお話させていただいて、私自身は随分気持ちが楽になったのだった。

その夜、電話で話したA先生から、娘に宛てたメールが私のアドレスに届いた。私がまず読んで、差し障りなければ、娘に読んでもらうとありがたい…と、なんともおくゆかしい一文が添えられていた。

そのメールは、とても丁寧な長いものだった。見ず知らずの親子のために、貴重な時間を使って書いて下さったA先生のお人柄に感銘を受けた。以下、ほんの一部をご紹介する。


わからないことは恥ずかしいことではありません.わからないことを放置せず理解しようとする◯さんの姿勢は,我々数学者が最も共感できるもののうちの一つです.どうか自信を持ってください.数学は研究者になっても分からないことだらけです.一つのことを勉強すると10個くらいわからないことが出てきたりします.そういうときは,その問題を覚えておいて,ひとまず別のことを考えたり休んだりして,気持ちをリフレッシュしてから考えるとわかったりすることもあります.

数学を勉強したいと本学を目指して入学されてきた◯さんが,ちょっとずつでも,本学で数学を存分に楽しんでもらえるようになっていければと祈っています. 


差し障りのない部分しかご紹介できないのが残念だが、先生ご自身のエピソードを交え、大学で学ぶことの意義を語って下さっていた。このメールを読んで娘も安心したようだった。まだまだ不安なことはたくさんあっただろうが、不安なのは自分だけではないのだとわかったことで気持ちが楽になったようだ。

ありがとうございます、A先生。

後期、困った時は、A先生に相談すればいいね、などと考えていたら、なんと、A先生はドイツ留学。けれど娘の周辺も変化があり、やっと気の置けない仲間のコミュニティができて、過ごしやすくなったらしい。

そして先日、ドイツから帰国されたA先生が、突然娘を訪ねて、教室に来られたという。留学してそのままだったから、気になっていたのだと。

面識もない一学生のために、そこまでしていただけるなんて。A先生、ありがとうございます。先生のおかげで、娘は人間不信にならずに済みました。先生からいただいたメール、大切にしまってあります。

さなトラ 藤野早苗

ホームページもご覧ください。

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by sacfa2018 | 2018-07-18 00:41 | 出会い | Comments(0)

不登校問題当事者であった経験からその時のこと、またこれからのことを日々綴っていきたいと思います。


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