自転車の少年

土曜日、20時頃。風が涼しかったので、郵便局まで歩いていくことにした。月曜日必着の原稿があったし、最近あまりに運動不足だったことを反省したからだ。

歩き始めてすぐ、「すみませーん。」と声をかけられた。薄暗い常夜灯の下、一瞬身構えたが、声の主は、よく日焼けした中学生男子二人組。自転車に乗っている。

「小6くらいの男の子、見かけませんでしたか?」
どうやら、人を探しているらしい。その男の子の風貌、身長とか、体重とか、服装を尋ねたのだが、どうも中学生二人組もあまり詳しくは知らないらしい。不思議に思い、さらに聞いてみると、この二人も、男の子を見なかったかと聞かれ、行方不明になっているらしいことを知って、一緒に探すことにしたのだという。男の子を直接知っているわけではないので、特徴を尋ねられても正確には答えられなかったわけである。なるほど。

子どもの行方が分からないことほど、不安なことはない。家族の気持ちを思うと胸が痛くなる。多分、この二人の中学生もそう思っているのだろう。世間的には思春期とか、反抗期とか、むずかしい年齢なのだろうが、誰かを助けようと一生懸命な姿を見ると、なんか、この国、大丈夫なんじゃない?という気持ちになってくる。

「もし、そういう子を見かけたら、どうしたらいい?」と聞くと、「警察に連絡して下さい。もう、行方不明の届けが出ているそうですから。」という的確な答えが返ってきた。
頼もしいぞ、中学生二人組。

そして二人は、また屈強な脚力で自転車を漕ぎ、風のように去っていった。

どうか、男の子が無事、家族の元に帰っていますように。中学生二人組の気持ちが天に通じていますように。

さなトラ 藤野早苗

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by sacfa2018 | 2018-06-11 00:07 | 出会い | Comments(0)

不登校問題当事者であった経験からその時のこと、またこれからのことを日々綴っていきたいと思います。


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