人生にもしも、はない。わかってはいるが、考えずにはいられない。
もし、娘が不登校になっていなかったら…?
・娘
中3 3月: 高校受験
a…合格
b…不合格→不本意な進学先→詰む
〈a 合格 の場合〉
娘の志望校は、難関私立。所在地も遠く、通学に時間と労力が必要。
試験に合格してきた生徒たちはみな優秀で、万遍なく勉強ができるタイプの子どもたち。娘のような、凸凹タイプは容赦なく進むカリキュラムに取り残され、落ちこぼれる。
通学疲れもピーク。友人もできない。
中学生まで、できると思われていた分、プライドも傷つき、再起不能→詰む。
高校受験に関しては、おそらく合格するというのが周囲の見解だった。だから、親としては、まさか、受験を目前に不登校になるなんて思いもしなかった。
むしろ、これでようやく自分が選んだ学校で好きな勉強ができるようになる、良かった!くらいに考えていた。でも、娘の胸の内は違っていたのだ。
ますますエスカレートする偏差値競争。それに巻き込まれて騒ぐ母親(私)。責められる自分。志望校に入学した嬉しさなんて一瞬で吹き飛んで、すぐ真っ暗な受験への時間が始まる。
こうなったらもう、動けない。余力が全くないどころか、マイナスの状態で立ち止まったら、次に動くまでとても時間がかかる。中にはこんな状態で何とか3年通い続ける子もいるかもしれないが、娘にはそれはとても無理というものだ。
多分、娘にはそれが見えていたのだと思う。高校に行かないことで、娘は自分の未来を手に入れたのだ。
もし、娘が不登校にならなかったなら?
その答えは、
人生を失っていた。
という、なんだか不思議な結果であった。
さなトラ 藤野早苗
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