今日、夫の保険を切り替えた。契約内容を見直して、現在のわが家に最適な保険にカスタマイズしてもらったのだ。
担当のAさん(推定40代・女性)は、電話でのやり取りはあったものの、実際に会うのは前の契約時以来だから9年ぶりだ。
細身の身体に黒いスーツをピシリと決めて、ハスキーボイスがカッコいい。最近の契約は、営業担当者のPCに、契約者本人がサインをしなければならないので、朝9時に、Aさんはわが家を訪ねてきてくれたのだ。
夫のサインも終わり、契約が恙無く整ったところで、あれからもう9年経ちましたね、と語り合う。ほんと、もう9年。
私、あの時、早苗さんから聞いた話で人生変わったんですよ、とAさん。
えっ、私、何を言ったんだっけ?
あのね、早苗さんは、
子どもへの教育は投資だっておっしゃったんですよ。
((((;゚Д゚)))))))
恥ずかしすぎる…。
ああ、9年前の私ならそんなこと、言いそうだなあ。今なら、絶対友だちになりたくないタイプのおばさんだ。
Aさんは2人の男の子のお母さん。
次男さんが6年生の夏、急に私立中学に行きたいと言い出したタイミングで、私の上記の(恥ずかしい)台詞を思い出し、中学受験の背中を押したのだそうだ。
Aさんの息子さんにはちょうどタイミングが良かったのだろう。半年間頑張って、希望の私立中に入って、今はもう高校一年生。勉強にスポーツに頑張っているという。
ああ、それは本当に良かった。私の不用意な一言で、息子さんの人生間違えさせてしまったら取り返しがつかなかった。たまたま息子さんが自分から勉強したいと思っていた時だったから、この言葉は有益だったけど、勉強したくない子どもにはとんでもない劇薬だ。今ならその危険性がわかる。
だって、娘はその4年後に劇薬にやられてしまったのだから。
Aさんには包み隠さず、娘のその後の進路をお話しした。それは、9年前、いい加減な教育観を吹聴した罪滅ぼしのためである。そして、もう一つ、思いがけず遭遇してしまった私自身の過去の亡霊と訣別するためでもある。
あの頃の自分に出会うのはとても苦しい。
「何にもわかってなかったくせに、大口叩く人だったよね、あの人って。」
そんな風に、あのころの自分を遠くから見ることができる日がいつか来ればいいなあ…。そんな風に考えている。
さなトラ 藤野早苗
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